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【第15話】裏原宿の美容師パパ。「重い、畳めない、邪魔」でも、俺がエアバギーを手放さない美学。

2026 7/08
未分類
2026年7月8日

神宮前の美容室、2階への階段を見上げるたびに、翔太は9.5kgのエアバギーと自分の腰のことを考える。

第1章:この重さは、罰ゲームか

翔太、29歳。神宮前の美容室でスタイリストをしている。息子が生まれて1年、育児と仕事の両立にはまだ慣れない。特に困っているのが、勤務先の店だ。1階は施術スペース、スタッフの休憩室と保育スペースは2階。エレベーターはない。

息子を美容室に連れて行く日、翔太はAirBuggy COCO BRAKE EX FROM BIRTHを担いで階段を上る。重量9.5kg。折り畳んでも大きく、片手で持てる代物ではない。両手でフレームを抱え、息を切らしながら15段の階段を上りきる。同僚には「なんでそんな重いの使ってんの」と毎回言われる。

正直、答えに困る。合理的な理由なんてない。ただ、このベビーカーが好きなだけだ。

第2章:軽さという正義への違和感

周りの同世代パパは、みんな軽量ベビーカーに乗り換えている。3kg台、4kg台。片手でひょいと持ち上げて、電車もエレベーターもスイスイ動く。合理的だ。正しい。翔太もわかっている。

だが、それらを見るたびに、何かが物足りない。ペラペラのフレーム、頼りない足回り、量産型のシルエット。悪くはないが、心が動かない。

翔太の仕事は「スタイル」を作ることだ。髪型、服装、持ち物。一貫した美意識がなければ、客からの信頼も得られない。無骨な太いタイヤ、いかつい三輪構造、ミリタリー的なフレームのシルエット。AirBuggyのデザインは、翔太が客に提案する「スタイル」の哲学と同じ線上にある。軽さを取って美学を捨てるくらいなら、重さを引き受けて美学を守る方がいい。

第3章:不便さの手入れ

もちろん、不便はある。階段はきついし、電車移動はほぼ選択肢に入らない。改札もギリギリ通れるかどうかの判定で、駅員に声をかけることもある。

それでも、タイヤだけは自分でメンテナンスしている。空気タイヤなので、月に一度は空気圧をチェックする。溝の減り具合も見ている。3輪構造ゆえに前輪の摩耗が早いことに気づいたのは半年前だ。減った分だけ、直進安定性が少し落ちる。だからこそ手をかける。この無骨な機体を長く連れて歩くために、翔太なりの流儀がある。

同僚からは「そこまでする?」と笑われるが、翔太にとってはギターのメンテナンスと同じ感覚だ。手をかけた分だけ、愛着が増す。

第4章:客に伝わるもの

ある日、常連客が「翔太さんって、ベビーカーもこだわってそう」と言った。何気ない一言だったが、翔太は嬉しかった。自分が大切にしているものが、仕事の外側からも透けて見えているということだ。

合理性だけを追えば、とっくに軽量機に買い替えているはずだ。でも、翔太が客に提供しているのは「機能」だけじゃない。「スタイル」だ。自分の生活の中に矛盾なく一貫したスタイルを保つこと。それが仕事の説得力になる。

第5章:階段を上り続ける理由

今日も翔太は9.5kgを抱えて階段を上る。汗をかく。腰も痛い。それでも、この重さは罰ゲームではなく、選んだ代償だ。

息子はエアバギーの座面に座って、いつも通り機嫌がいい。三輪特有のどっしりした走行感が、揺れを気持ちよく殺してくれているらしい。翔太はそれを見て、この不便さごと引き受けてよかったと思う。

軽さも、便利さも、正しい。でも、正しさだけで選んだものに、愛着は生まれない。翔太は今日も、無骨なフレームを担いで、自分のスタイルを階段の上まで運んでいく。

【本日の生存戦略物資】

AirBuggy(エアバギー) COCO BRAKE EX FROM BIRTH(ココ ブレーキ EX フロムバース)

定価:¥79,200 メルカリ相場(美品):¥35,000 リセール率:44%(独自調査)
実質月額(3年):¥1,228 全幅:53.5cm(改札判定:CAUTION) 重量:9.5kg

① 総評(Verdict):合理性では選ばれない機体。だが「スタイルを貫く」という一貫性を求める人間には、これ以外の選択肢がない。

② 機能的勝因(Hidden Spec):空気タイヤによる走行の滑らかさは、振動を殺す性能として数値化されないが体感で分かる。ただし空気圧管理という手入れが前提になる。

③ 所有の美学(Pride):不便さを承知の上で貫く一貫性こそ、翔太のプロフェッショナリズムそのもの。正しさより美意識を選べる人間は強い。

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